サピア=ウォーフの仮説は、「話す言語によって、その人の思考や時間の捉え方が決まる」というもの。
新作映画『Disclosure Day』(邦題:ディスクロージャー・デイ)の記事を書いた頃、久しぶりに宇宙ジャンルの映画を見ていました。
映画『メッセージ』(原題: Arrival)は、その一つ。
『メッセージ』は、、一見すると「エイリアンとの遭遇」を描いていますが、核心は「言語」「時間」「人生の選択」という、哲学的な物語。
以前に見た筈なのに、まるで違う映画のよう。
初めて鑑賞した作品のように、すっかり魅入りました。
こんな内容だっけ?という印象には、正直、戸惑います。
ときおり、受講生さんから「過去の記憶が変わってた」という、まあ一般には驚かれるエピソードを報告されることがあり、私自身も「異変」には慣れている方だと思います。
ですから、(おや、この異変は久しぶり!)と思いました。
ストーリー構成は複雑で、物語が進行するなか、主人公の記憶がパッ、パッと挿入されます。
そのシーンを、私たちは過去のものと思って観ています。
ですが、じつは未来の記憶だったという映画です。
エイリアンの言語の仕組み(円環)は、初めと終わりが繋がっています。
円形で記されるので、過去と未来も同時にあるという世界観で生きています。
そのため、主人公の記憶も過去と未来がリンクできるようになったのです。
主人公も、そもそもエイリアン的な素養があったのか、出身が地球人ではない可能性がありそう。
まじめに考察してみると、実に多くの示唆に富んでいます。
1. 「言語」は世界の見方を変える
劇中に登場するのが「サピア=ウォーフの仮説」です。
- 人類の言語: 線形(過去→現在→未来の一方通行)
- エイリアンの言語: 円環(始まりと終わりがない。同時存在する)
主人公が、エイリアン語をマスターしたことで、彼女の脳は「未来」を「現在」と同じように体験できるようになりました。
つまり、別の言語体系を学ぶと、新しい次元の視点を得ることなんですね。
私も英語で話すときは、性格も変わっているように感じます。
違う自分が顔を出すんです。
ちなみに、主人公の娘(未来に亡くなる予定の)の名前「HANNAH」(ハンナ)も、右から読んでも左から読んでも同じ、回文(パリンドローム)。
エイリアンの文字が「始まりも終わりもない円」であることと、同一性を象徴しているのでしょう。
2. コミュニケーションの本質
世界中がエイリアンに攻撃的になるなか、主人公だけが「対話」を試みます。
この映画は、相手を「敵か味方か」で判断する前に、「相手の文脈を理解しようとする姿勢」をもつことが、いかに難しく、重要かを伝えています。
武器(Weapon)と道具(Tool)の解釈の違いが、その象徴です。
3. 悲しい結果を知っても、その未来を進む?
これが最も考え込んでしまうテーマです。
未来が見えるようになった主人公は、自分の娘が若くして病気で亡くなること、夫と離婚する運命を知っています。
- テーマ: 哀しい終焉を知っていても、その過程の体験に価値はあるの?
- 主人公の気付き: すべてのプロセスを受け入れ、「今」の瞬間を大切に生きよう。
「旅の目的地(結末)を知っていても、私はそのプロセスを歓迎する」という言葉は、主人公の決意です。
そして、映画は、私たちに、「自分の人生(未来)に悲劇が起こると知っていても、あなたは人生を愛せるか?」という問いを投げかけているのです。
宇宙人映画 ではなく、何処のカテゴリーにも属さない「新ジャンル」な作品ですね。
4. 未来の情報を、過去(現在)に活かす
エイリアンの言語が可能にしたのは、時間の超越。
私は今、日本の国内政治のメチャクチャさに呆れてきっています。
問題や疑念があるのに、何があってもひっくり返らない社会の序列。格差や国境。
嘘の公約、裏切りもあり得ると知りながら、淡い望みを抱いて臨む選挙。
投票率をみれば、(どうせ無駄だよ)という諦めが、国民の半分を占めていることが判ります。
その未来予測は、概ね正しい予知でしたね。
けっこう日本国民の感性は鋭くて、サイキック度数も高し!
でもね、「切なすぎる行為」でも、行動し、味わい、乗り越えるプロセスにこそ、意味があるのだと教えてくれる映画じゃないかな、と。
人生も、ご臨終がゴールじゃなくて、毎日のプロセスに意味があるのだから。

璃子 Riko, C
アウェアネス・インスティテュート
Awareness Institute
ヒプノとサイキック
レッスン / セッション
米国催眠士協会・米国催眠療法士協会
認定トレーナー
















