”なんもしない人”のレンタル存在を知ったとき、力が抜けた感がしました 。
ロイター通信社が発信するほど、話題となっているんですね。
時々ね、思うんです。
「人の役に立ちたい」
「夢を叶えたい」
「もっと成果を上げたい」
… という人が、とっても とっても多いんだなと。
その一方で、いま喫緊に 何かに困っている訳でないけれど、ただ純粋に学びたい、知りたい、お稽古という方がいます。
何も困っていなくて 透明なスタンスなら、前述の欲求にも楽しさ、ラクなエネルギーが感じられます。
(別にソレが手に入らなくても、ま、いいか…)という雰囲気と、(絶対にソレが欲しい、早く!)という雰囲気は、表面の行動は同じでも、根底のマインドエネルギーが異なって伝わってきます。
人というのは、殆ど いつも「○○になりたい」と思っています。
常に 何かになろうとしています。
今の自分ではない、何かになれば(きっと)価値が高まると期待しています。
また、高めていなければ ならないと(自分で)決めています。
決めた理由は、自分ではわかっていません。
おそらく、これまでの地球文明のミームでしょう。
現状への欠損感が強いので、ほかとの比較・競争心も根強く持っています。
レッスンでは その最大の根っこに気づくこと、解除していくことを本当のゴールと考えていますが、まずは欠損感を埋めるまでが(やっと!)のこともあります。
欠損感を補充し、マイナスをリセットすると、急激に高揚感が高まり、自己尊大化が始まります。
乾いたスポンジを水に浸すと、水分をグングン吸収するように、これまでの欠損感が大きい分だけ、急速に ”すごい自分” を肥大化させます。
そして、さらなるお役立ち感を得ようとし始めます。
人生に”出遅れた期間” を取り戻そうとするように、自分が どれくらい(人よりも多く)役立てる存在なのかを証明したくて、今度は 比較、競争心がムクムクと立ち上がってくる様を 見ることもあります。
こうしたパターンを見ていると、気づくのです。
人は、○○を目指して、そして○○になった暁には、今度は □□を目指すんだなと。
そうした次の目標が明確に定まらないと、再び あなたは(無価値で無意味な人生をウダウダと過ごし、存在意味のない自分)を感じつづけます。
”なんもしない人”のレンタル存在を知ったとき、私は 力が抜けた感がしました 。
ハタとそれに気づいたのです。
久々の「目からウロコが落ちた感」を新鮮に感じました。
ほとんどの人は「□□を目指していること」自体に価値があると信じているんじゃないか。
そして(それが妄想だとしても)その□□を達成したら、すでに□□であることの価値は失われ、新たな次の目標、◇◇の価値をへと駆り立てられるのです。
そうして 急ぎ足で生き、いつも焦っていて、比較しては 落ち込み(時に 尊大になり)、または誰かの同意や賛同、”自分のファン”を欲しがります。
言葉を変えれば、いつもいつも”欲しがって” います。
欲しがっているばかりの姿を自覚できないまま、欲しがり続け、手に入らなければ気が済まないかのようです。
無価値観に苛まれ、私の適職、適性は何か、私の人生の目標は何か、使命は何か…いつも正しい答えとやらを、掴んでいたくて、間違いや大回りを避け、どこかにきっとあるはずの(ないかもしれない)正解を求めています。
大した価値がないかもしれない自分を認めたくないという強迫観念が、あなたを(何しなくちゃ!)(もっと価値ある私で居なくちゃ!)と、あなた自身を急き立てている真の原因かもしれないのに。
本当は、何かにならなくちゃダメな理由なんて何処にもなく、ただの幻だったら、どうします?
その脅迫、焦りこそが 無意味で、無価値だとしたら?
□□や◇◇(ゴール)に価値があるかどうかは、実はどうでも良くて、本当はずっと努力し続けていたいだけもしれないでしょう?
好きなことをしていても、壁にはぶつかり、自己満足で終わり、とくに誰かに役立っているわけでもないー 人生も沢山あるはずです。
あるいは身近な知人、家族だけには実質的に(金銭の運び手、家事、労働力として)役立っているけれど、そのことを不足に思っているのは、単に 自分を過大に感じたいエゴの囚われかもしれません。
そう考えていくと、例えば 寝ているだけの人(幼児や病人、寝たきりの人、身体頭脳面で生産性の見られない人)は、みんな「ムダな存在だよね」となりますね。
突き詰めれば、究極のところ、そういうことと同義です。
そういう存在は 生きていなくて良いよ、という論理です。
にもかかわらず、世の中の実態は、レンタル”なんもしない人”が高い人気を集め、年間に1500件もの依頼があるといいます。
ただ生きている(だけ)。
そこに同席している(だけ)。
存在している(だけ)。
それだけで構わないから、居てください、付き添ってください という依頼が多いというのです。
賢者イエスの言葉が思い出されます。
【野の鳥を見よ。
彼らは耕しもせず、紡ぎもしない。
なのに 天は生かしてくださる。
あなた方、人間を生かしてくださらないことがあろうか】
彼は、本当に”何もしない人”で「飲み食いと簡単な受け答えのほか、なんもしない」をウリにしています。
聞けば、国立大阪大学の大学院で理論物理学を学び、将来は研究者やノーベル賞に憧れていた時期もあり、初めは無料(交通費と飲食代は依頼者の負担)サービスだったそうですが、今は 人気があり、1万円の有料サービスになっているそうです。
それで1500件ですからね、依頼が多くなった現在は、直感的に依頼内容を選ぶとか。
面白いじゃありませんか!
璃子クレア Riko Claire
アウェアネス・インスティテュート
Awareness Institute
ヒプノとサイキック
レッスン / セッション
米国催眠士協会・米国催眠療法士協会
認定トレーナー